手汗・足汗は手術で治る?手と足の多汗症手術について
手汗や足汗に悩みを抱える皆さんの中には、手術による治療を検討している方も多いと思います。
最近では、ワキガやワキ汗を手術で治す方法が、一般にも広く知られるようになり、「それなら手汗・足汗も」という期待をされるのは当然だと思います。
そこで、今回は手汗・足汗の手術による治療について、見ていきたいと思います。
まず知っておいていただきたいこととして、手汗と足汗では手術による治療といってもまったく別物であるということです。
以下、それぞれ見ていきたいと思います。
手汗(手掌多汗症)の手術
手汗の手術については、近年、専門で行う病院やクリニックも増え、広く知られるようになってきました。
その方法はETS手術(胸腔鏡下胸部交感神経遮断手術)という方法です。
これは、ワキの部分に小さな穴をあけ、直径3~4mmの内視鏡を使って、手のひらの汗腺をコントロールする胸部交感神経を切断するというものです。
手術は全身麻酔をかけて行われますが、10~20分で終了し、術後3~4時間くらいで退院でき、日帰りまたは遠方ならば1泊で完了するため、比較的手軽に受けられます。
費用は保険が効き、高額療養費制度も申請できるので、8~10万円程度で手術を受けることができます。
また、生命保険の手術給付金の対象にもなっています。
神経を切断する手術のため、効果は一生のものになりますが、まれに切断した神経が再生して、再発することもあるようです。
足汗(足蹠多汗症)の手術
足汗の手術の方法としては、腰部交感神経ブロック手術という手術法があります。
これは腹腔鏡を使って、足汗をコントロールする腰部交感神経の部分にアルコールを注入することにより、マヒさせるというものです。
神経を切断するわけではないので、効果は5年程度であると言われています。
一応手術方法としてはあるのですが、残念ながら日本では多汗症の治療としてはほとんど行われていません。
この手術は、下半身の痛みの軽減などを目的として、ペインクリニックなどで実施されているようです。
無視できない代償性発汗
手術によって手汗・足汗を止める方法で、避けて通れないのが代償性発汗という副作用です。
これは、例えば手汗の手術をした場合に、手汗が出なくなる代わりに体の他の部位での発汗量が増えるというものです。
神経の伝達を止めて汗を出なくするという治療法では、大なり小なり100%この副作用が現れると言われています。
中には治療前よりも治療後の方が生活の質が低下したという方もおられ、病院に対して裁判を起こされている方もおられます。
手術によって症状が緩和し、満足されている方がいる一方で、手術したことを後悔されている方もいるということは、心に留めておく必要があります。
多汗症治療で手術という選択肢は最終手段
このように、場合によっては重大な副作用があることを念頭に、ご自分の多汗症の重症度、生活への支障の程度を良く考えて、手術を受けるかどうかを決断する必要があります。
手術を受ける場合には、信頼できる医師・病院を選び、十分に説明を受けて納得してから手術に臨むべきでしょう。